日本の医療の未来を考える会

第18回「日本の医療の未来を考える会」リポート

第18回「日本の医療の未来を考える会」リポート

■9DWの開発した事例

 9WDでは、医療分野で次のような開発を行っています。

・歯のモデルの自動生成
 歯科技工士の代わりをするAIを開発しています。歯の欠損部分を補うための歯科技工物は、患者の口腔内の型をデジタルデータに置き換え、歯科技工士がCADでデザインし、それを工作機械で自動的に削り出します。こういったデジタル化が浸透しつつありますが、1本の歯のデザインに15分程度かかります。1万症例ほどのCADデータをAIが解析し、学習して、口腔内のデータから、必要な歯を自動生成するシステムを開発しました。AIが存在するクラウド上に口腔内データをアップしていただくと、20秒で1本の歯を生成することができます。出来上がった歯に対して、現在は腕のいい歯科技工士さんが、フローラインという溝の調整を行っています。最後は人の手に頼っているのです。しかし、それもAIでやってほしいという要望があり、現在、溝をより自然に作れるように、追加で学習させているところです。

・映像解析
 人間の動作を映した映像から、その人がどのような動きをしているかを、リアルタイムで抽出することができます。アスリートに対するアドバイスはもちろん、介護の場面でもカメラで映像を撮ることにより、その人がどのような状態にあるのかを検出することが可能になります。

・MRI、CTスキャンによる画像診断
 断層画像のデータを、歯を生成するアルゴリズムに流用することで3Dの構造物として生成し、形の類似性から、どこが病変なのかを高精度に推測します。さらに、それがこのような診断だったと学習させることで、この病変ならこの病気が考えられるというリストを出して、医師をアシストすることが可能になります。最終的には、医師とAIが議論できるようになることを目指しています。

・薬の副作用
 薬の相互作用で副作用が増幅されてしまうことがあります。そこで、薬の組み合わせの安全性を自動的に計算し、患者の診断に対して出されている薬が本当に正しいかどうかを評価し、同じ作用で危険度の低い薬の組み合わせを提案するAIシステムを開発中です。

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■株式会社9WDによる医療分野提案

・入院患者見守りAI
 入院患者のバイタルデータや回診データなどから、患者の状態を高精度に予測し、医師や看護師のアシストを行います。カメラを取り付ければ、容態変化の予兆を検知したり、院内事故を防止したりすることにも役立ちます。

・介護補助AI
 介護施設にカメラを設置できれば、容態変化の予測、異常行動の早期発見、徘徊予兆の検知などができます。また、介護施設の過去データを学習することで、ケアメニューの最適化や人員配置の最適化ができ、少ない人数での充実した介護が可能になります。

・訪問医療や介護の現場補助AI
 現場のデータをカメラやマイクで取得し、カルテやレポートの作成補助、残薬などの状況把握と記録、巡回ルートの最適化などを行い、訪問医療や介護の現場を総合的に補助します。

・予防医学AI(IoT機器連携版)
 体の状態をセンシングできるIoT機器と連携できる場合は、生体ログから特徴を学習し、その人の病気や怪我の記録から、病気や怪我をしやすい状態を学習し、病気や怪我の予兆を高精度に検知します。それをかかりつけ医に通知したり、予防のための行動変容へとつなげたりすることも可能です。

・予防医学AI(IoT機器未使用版)
 今までの診断記録、定期健診の記録、DNA情報などから、個人の特性を学習し、さらに生活習慣がわかるデータを収集することで、そこから病気や怪我の予兆を高精度に捉えます。それにより、通院を促したり、生活習慣の改善についてアドバイスしたりします。

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